山口CDサークル
CDサークルとは、クローン病の患者さんの情報交換の場です。
開催等は、決定次第お知らせ致します。
CDサークルだより
※内容を一部変更して掲載しております。また掲載してある情報は当時のものです。
山口CDサークルを開催して 山口赤十字病院内科 末兼浩史
山口市は本州西端の県庁所在地ですが、人口20万人の田舎町です。
小京都と呼ばれ、大内氏が栄えた室町時代から人口がほとんど変わっていません。
当院内科には山口市内・県中央部~萩・北浦・山口県北部~島根県西部までのクロ-ン病患者さんが通院されています。クロ-ン病は内科的治療を主体としますが、外科との連携も必須で、腸管穿孔・腸閉塞・ろう孔などの合併症のために手術を施行した患者さんもいらっしゃいます。患者さんの中には病気の受容・理解が不十分であったり、手術を含む治療に対する恐怖心が強かったりと、病状が悪化してもすぐに来院いただけないこともありました。
内科療法の基本として、栄養療法(ED)を全員に説明し勧めていますが、初回導入時に有効であってもその後の継続は難しく、経鼻チューブによるHome EDを行っている患者さんはわずかです。外来経口栄養療法を実施している患者さんの半分以上が脂肪分を含む半消化態栄養が中心で、残念ながら外来維持療法に対する受容・コンプライアンスは不十分な状況でした。
難病だからといって患者さんひとりで悩むことがないように、なるべく新しい有益な情報の提供と信頼関係を深めるため、医療従事者と患者さん・ご家族との共同勉強会の企画を考えていたところ、J-IBDのIBDキャンパスの存在を知り、山口赤十字病院クローン病教室として開催させていただきました。(2006年度以降は山口CDサークルとして年2回の開催を継続しています)
クロ-ン病は特定疾患とはいえ、きちんとした治療と栄養管理をしっかりやれば、普通の人と変わらない生活も可能です。当院でも2006年以降、抗TNFα抗体製剤(レミケード、ヒミュラ)治療を導入し、外来化学療法室での通院治療も可能で患者さんのQOL向上に貢献してきました。その後、抗IL-12/23抗体製剤であるステラーラ、抗α4β7インテグリン製剤であるエンタイビオといった新しい生物学的製剤も登場し、クローン病に対する治療選択の幅が広がってきています。
これらはクローン病の治療体系に明るい変化をもたらしましたが、その適応には慎重な検討が必要で、寛解導入・維持には治療の基礎である食事栄養療法の並行継続が必要不可欠です。地方の病院といえども全日本・世界レベルのIBD治療、患者さんへの情報発信を心掛けたいと思います。
今後もより多くの患者さんに山口CDサークルへ参加いただけるよう当院スタッフで努力し、半年に1回開催していく予定です。よろしくお願い申し上げます。