整形外科 Orthopedic Surgery and Rheumatology
「筋肉と骨を守り、“歩く”を取り戻す」
― 筋温存手術とリハビリテーションで、「動ける喜び」を次の一歩へ ―
山口赤十字病院整形外科は、単に痛みを取るだけではなく、「筋肉・骨・関節を守りながら、自分の足で再び歩く力を取り戻す」ことを信念としています。
筋肉をできるだけ傷つけない上方アプローチ(SA)、骨折や転倒を防ぐ予防医療、そして自重運動であるストレッチ筋トレBELUを三本柱に、外科的治療からリハビリテーション、再発予防までを一貫して支援します。
患者さん一人ひとりの生活背景(日常動作・スポーツ)を考慮し、“動ける身体”を取り戻す最適な治療を提供しています。
当科の3つの強み
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筋肉を守る ― 筋温存手術「上方アプローチ(SA)」¹⁻⁵
人工股関節全置換術(THA)では、筋肉を極力切らない上方アプローチ(SA)を採用しています。中殿筋や短外旋筋群を温存することで、術後の筋萎縮や脱臼リスクを減らし、早期リハビリ・早期社会復帰をめざします。股関節だけでなく、肩関節手術にも筋温存の考え方を応用し、「できるだけ切らない・残す」手術を心がけています。 -
骨を守る ― 骨粗鬆症マネジメントと予防医療⁶⁻⁸
「一度折れると、次の骨折が起こりやすくなる」骨折の連鎖を防ぐため、脊椎画像やリスク評価ツールを用いて、骨粗鬆症の早期診断に取り組んでいます。薬物治療、栄養指導、運動療法を含めた多職種連携で、「折れない身体」を守る体制を整えています。 -
歩くを取り戻す ― ストレッチ筋トレ「BELU」⁹⁻¹⁴
当科が開発した自重運動プログラム「BELU」は、関節への負担を抑えながら、筋力とバランスを高めることを目的とした運動療法です。関節リウマチ患者さんを対象とした研究で、1年以上の継続により、歩行速度や筋力の改善が維持されることが示されています。
診療内容
以下のような疾患に対して、手術・薬物療法・リハビリテーションを組み合わせた治療を行っています。
- 股関節疾患(変形性股関節症・関節リウマチ・大腿骨頸部骨折)¹
→ 上方アプローチ(SA)による低侵襲手術で筋肉を温存し、早期離床・早期回復をめざします。 - 膝の疾患(変形性膝関節症・関節リウマチ・前十字靭帯損傷)¹⁵
→ 人工膝関節全置換術(TKA)、部分置換術(UKA)、高位脛骨骨切り術(HTO)などを組み合わせ、年齢や活動性に応じた関節温存治療を検討します - 足の疾患(関節リウマチ・外反母趾・足関節靭帯損傷)¹⁴
→ 変形矯正や内固定術により、痛みの軽減と歩行機能の回復をめざします。 - 肩の疾患(変形性肩関節症・関節リウマチ)⁵
→ 肩甲下筋温存型の人工関節(リバース型・人工骨頭)により、できるだけ自然な可動域を保つことを目標とします。 - 関節リウマチ⁹⁻¹³
→ 手術療法、生物学的製剤、JAK阻害薬、運動療法(BELU)を組み合わせ、関節破壊の抑制と「動ける生活」の維持を図ります。 - 骨粗鬆症・骨折予防⁶⁻⁸
→ FOSTAなどの評価ツールを用いてリスクを早期に見つけ、骨折する前から予防に取り組みます。
チーム医療・地域連携で「動く未来」を支える
当科では、リハビリテーション科、看護部、薬剤部、栄養部など多職種が結集し、診断から手術、リハビリテーション、再発予防まで一貫したチーム医療を提供しています。 また、紹介元の先生方と手術成果や回復経過を共有する症例フィードバック(CROS)を通じ、「紹介して終わりではない」強固な地域連携を実践しています。 国内外学会での発表や論文¹⁻¹⁵で得られた最新のエビデンスを日常診療に還元し、山口県全域の「歩くを取り戻す医療」に貢献していきます
¹⁻¹⁵ 詳細は[研究実績・論文紹介ページ]を参照
部門医師紹介
加茂 健太(Kamo Kenta) ー リウマチ・関節外科部門
| 人工股関節手術における上方アプローチ(SA)の開発者として、筋肉をできるだけ傷つけない手術と、リウマチ・関節疾患のトータルケアを統括しています。 |
原口 明久(Haraguchi Akihisa) ー 骨粗鬆症・関節機能再建部門
| 骨粗鬆症の早期診断と、足の疾患やスポーツ整形における機能再建の専門家として、「折れにくく、よく歩ける身体」を支えます。 |
詳細プロフィール
加茂 健太(Kamo Kenta)
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■専門分野・強み ・股・肩関節の筋肉を温存する低侵襲手術「上方アプローチ(Superior Approach: SA)」 ・関節リウマチのストレッチ筋トレ「BELU」 |
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■ 主な所属学会・役職・資格 |
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■ 学術実績(主要論文・研究) |
原口 明久(Haraguchi Akihisa)
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■専門分野・強み ・足・膝関節鏡視下手術(足関節靱帯再建、前十字靭帯再建など)、関節温存手術 ・骨粗鬆症の精密診断 |
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■ 主な所属学会・役職・資格 |
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■ 学術実績(主要論文・研究) |
甲斐 勇樹(Kai Yuki)
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■専門分野・強み ・膝関節 ・外傷一般 |
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■ 主な所属学会・役職・資格 |
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■ 学術実績(主要論文・研究) |
酒井 鴻(Sakai Ko)
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■専門分野・強み ・骨折外傷 ・膝関節 ・肩関節 |
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■ 主な所属学会・役職・資格 |
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■ 学術実績(主要論文・研究) |
宮田 隆史(Miyata Takafumi)
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■専門分野・強み ・股関節 ・膝関節 ・外傷 |
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■ 主な所属学会・役職・資格 |
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■ 学術実績(主要論文・研究) |
城谷 崇利 (Shirotani Takatoshi)
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■専門分野・強み ・関節外科 ・整形外科一般 |
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■ 主な所属学会・役職・資格 |
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■ 研究テーマ) |
土井 浩大 (Doi Kodai)
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■専門分野・強み ・スポーツ外傷 ・小児外傷 |
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■ 主な所属学会・役職・資格 |
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■ 研究テーマ) |
研究実績・論文紹介
1. 筋肉を守る:上方アプローチ(SA)¹⁻⁵
- ¹加茂健太, 他:上方進入法による人工股関節置換術手技の概説.日本関節病学会誌40(2):127-133,2021.
短外旋筋温存率100%、脱臼率0% - ²城戸聡, 他:上方アプローチによる人工大腿骨頭置換術後の股関節周囲筋MRI評価.骨折 40(2):409-413,2018.
MRIで筋連続性保全を確認 - ³河内奈々子, 他:後方vs上方アプローチの早期回復比較.Hip Joint 45(2):S67-S70,2019.
自宅退院率81.5%、ADL優位 - ⁴加茂健太, 他:SAを応用した肩関節手術.九州リウマチ 44(2):56-61,2024.
- ⁵Kamo K:The Superior Approach in Hemiarthroplasty.Hip Pelvis 36(3):211-217,2024.[英]
手術時間57.1分、早期ADL向上
2. 骨を守る:FOSTA・骨粗鬆症予防⁶⁻⁸
- ⁶河村正太郎, 他:FOSTA指標の重症骨粗鬆症予測.整形外科と災害外科 74(Suppl.1):164,2025.
- ⁷原口明久, 他:脊椎画像で診断率31%向上.日本骨粗鬆症学会雑誌 10(Suppl.1): 505,2024.
- ⁸原口明久, 他:脊椎画像検査の予防重要性.日本リウマチ学会 69回:787,2025.
3. BELU・歩行回復⁹⁻¹⁴
- ⁹横田亮介, 他:BELUの1年後歩行速度効果.九州リウマチ 45(1):19-24,2025.
- ¹⁰加茂健太, 他:BELUの自己効力感と継続率.九州リウマチ 44(2):S50,2024.
- ¹¹横田亮介, 他:THA患者の歩容評価.Hip Joint 49(2):S111-S114,2023.
- ¹²横田亮介, 他:BELUの歩容改善.九州リウマチ 44(1):26-30,2024.
- ¹³Kamo K, et al.:BELUとTUGテスト.Prog Rehabil Med 9:20240009, 2024.[英]
- ¹⁴Haraguchi A, et al.:SAFE-Qと転倒リスク.Modern Rheumatology 35(3):443-448,2025.
4. 膝関節温存手術:高位脛骨骨切り術¹⁵
- ¹⁵原野理沙, 他:70歳以上の高齢者における高位脛骨々切り術の検討.整形外科と災害外科 72(3):360-364,2023.











